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架空送電線の技術動向
(電線時報 98年12月号、99年1月号より引用)

電力需要は安定的な拡大が見込まれている。地域間の電力需要の不均衡を解消し、将来的な電力供給の安定を確保するため、電力会社間の広域運営・経済的な効率化が必要になり、架空送電線の広域連係網は拡充強化が推進されている。

その中で1,000KV級UHV(Ultra HighVoltage)送電線は南北ルート(新潟~山梨間)の西群馬幹線や南新潟幹線の完成に続き、東西ルート(群馬~栃木間)のうち北栃木幹線が完成し現在500KVで送電が行われている。また、南いわき幹線(栃木~いわき)も平成9年に架線工事が開始され、平成11年に運用開始が予定されている。完成すれば、1,000KV設計分としては、南北ルートと合わせ全体で427kmの亘長となる。

また、中部~北陸、関西~中国間の500KV連係送電線も建設が進められ、超大束径送電線、完全ハプレハブ架線工法等、新技術が採用されている。

(1)増容量化

大サイズ電線、多導体、圧縮導体、耐熱性の向上、弛度抑制(低線膨張率インバ線使用)、多導体方式の束径
(導体間の外径)増大(低インダクタン ス化)等により増容量化が推進されている。
越美幹線では6導体方式の世界初の束径2.4mの超大束径が採用されている。

(2)環境調和

送電線を周囲環境から目立たなくする方法として、電線のアルミ表面に暗色系の薄膜層を生成させた低明度電線や電線の表面にサンドブラスト処理を施し、光を乱反射させた低反射電線の採用が進められてる。

また、送電線に強風が当ると風音が発生することがあるが、電線表面の一部に凸状突起を付け、風を乱すことにより風音を低減した低風音電線が使用されている。さらに、降雨時と降雨直後の電線からのコロナ騒音を低減するものとして電線表面に親水性被膜を生成した低コロナ電線があり、この電線と低風音電線を協調させた低騒音電線も採用されている。

(3)OPGW

架空地線の中心部に光りファイバを内蔵させたOPGWは、継続して日本全国に架線されており、平成8年度末には
約38,000kmに達する見込みであり、高圧系架空送電線路の亘長の約半分に相当する。電力会社内の通信や各種監視システムの情報伝送路のほか公衆通信の伝送路としても使用され、重要な役割を果たしている。線路の送電容量が増大する中で、OPGWも大サイズ化が行われ、UHV送電では世界最大の500平方ミリメートルが2条採用されている。

OPGWにも低風音や低反射などの環境調和形のものの採用が増えている。また、架空地線に光ケーブルを巻き付けた巻付形架空地線も使用されている。

(4)プレハブ化

架線工事の省力化と工期短縮を目的として、工場で予め鉄塔での支持点や引留点を精密な計尺で設定し、その部分にマーキングを施したプレハブ電線を使用することで、工事現場では指示された位置で切断し、地上で引留クランプを装着後延線し、各鉄塔に取り付けることで架線を行えるプレハブ工法が採用され、近年プレハブ電線の採用が拡大している。地上10mから100mを越える高所作業を少なくできる。

(5)保守監視システム

鉄塔に取り付けたITVカメラ、気象観測などの各種センサ、情報伝送用光ケーブル(機器、端末機器を含む)とデータ管理用機器などを組み合わせ、画像やセンサなどからの情報をOPGWなどにより相互伝送することにより保守監視を行うシステムの適用範囲が拡大している。