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地中電力ケーブルの技術動向
地中電力ケーブルは、CVケーブル、OFケーブルともに大容量送電線路へ数多く適用され、長尺化、コンパクト化によってコストダウンを図る動きが進められている。
今後の電力需要は、年々着実に伸びていくと予想され、超高圧電力ケーブル線路の建設も多数予定されている。

地中電力ケーブルの技術的開発事項の主なものとしては、

1.世界初の中間接続部を有する長距離500vCVケーブルの建設が開始された。
2.大サイズ、大容量の直流±500kvCV海底ケーブルの製造が開始された。(阿南紀北幹線)
3.一連続長が1,800mの超長尺275kvCVケーブルの布設が行われた。
4.世界最大規模(3.3km)の管路気中送電線(GIL)が建設されている。
(CVの4倍の送電容量を確保できる)
5.275kv級プレハブ形接続部が実線路へ適用され、500vプレハブ形接続箱の長期通電試験が開始された等があげられる。

CVケーブル

超高圧線路への適用が進み、275kvCV級では中間接続部を含む長距離線にも使用されている。1本のケーブル条長が1,800m(従来600m)である超長尺275kvCVケーブルの布設が開始された。これは中間接続部を減らしコストダウンを図ったものである。

500kv級でも、中間接続部のない線路では既に実用化されているが、さらに中間接続部を有する長距離送電線路に適用するために開発が続けられてきた。この開発研究は、7年間にわたり行われ、長期実証試験を終了し、平成8年から製造、布設が開始されている。

長距離超高圧ケーブル線路の建設は、地方主要都市にも多数予定されている。

(1)製造技術

乾式架橋の採用と3層コモンヘッドの導入によって大きく向上した。昭和40年代後半から50年代前半にかけて66kv以上のCVケーブル製造ラインは、水蒸気架橋方式から乾式架橋方式へと変更された。

乾式架橋方式 : 高温の不活性ガス(N)雰囲気中で化学架橋する方式で、水蒸気架橋方式に比べ、PEの架橋工程中に水分が絶縁体に侵入するのを防ぐと共に、この水分により発生するボイドを大幅に低減することで、CVケーブルの電気特性を飛躍的に向上させた。

3層コモンヘッド押出方式:内部半導電層、絶縁体、外部半導電層の3層を同時に共通のクロスヘッドで押し出す方式であり、半導電層の突起や異物混入防止策として非常に有効である。更に、絶縁体中への異物混入防止のため、クリーンレジンの開発、スクリーンメッシュの細密化および製造ラインの完全密閉化等の対策を実施し、混入異物の大きさ、数をケーブルの高圧化と併せて段階的に減少させてきた。

このような改善により、今日のCVケーブルは高い信頼性を得るに至り、500kvCVケーブルに象徴されるように、超高圧分野においてもOFケーブルにとって代わりつつある。

(2)施工技術

従来、154KV以下の終端接続部および77KV以下の直線接続部は、プレハブ形あるいは自己融着性ゴムテープ巻き形で組み立てられており、作業性も良く十分な信頼性が得られている。

一方、154KV以上の直線接続部は、より高い電気性能が得られる架橋ポリエチレンモールド形が採用されている。これはケーブルと同じ種類の絶縁材料を用いることから、ケーブル絶縁体と一体化したボイドレスな絶縁体を形成できる点が優れており、特に275KV以上では、小型押出機を用いた押出モールド技術の開発により、異物レベルをケーブルと同等に管理することを可能にした。反面これらのモール形接続部は、押出・架橋の工程が入ることから、77KV以下の接続部に比べて著しく施工時間が増大する難点があり、これを短縮することが一つの課題となっている。この対応策として、接続部のプレハブ化が考えられ、現在
154KV級では実用化されているが、275KV級においても開発が完了し、実線路へ適用された。

施工途中における検査技術の進歩には目覚ましいものがあり、超高圧分野においては、小焦点X線装置と画像処理技術の組み合わせにより直線接続部の内部欠陥検出精度の向上を図るとともに絶縁体処理部、内部・外部半導電層処理部の仕上がり状況チェックのため、走査治具に搭載したCCDカメラによる絶縁体表面検査装置が実用化され、検査精度の向上とともに品質向上に役立っている。

また、施工品質の安定化を図るために、作業の自動化、機械化を主眼とした施工技術の開発が行われ、外部半導電層削り取り作業の機械化、組み立て作業の機械化、絶縁体表面検査の自動化が検討され、実線路に適用された。QC(品質管理)手法として、FMEA(故障モード影響解析)手法あるいはQD(品質機能展開)手法が採り入れられており、施工現場における即時データ解析システム等の導入が図られている。

(3)検査技術

・CVケーブルの水トリー劣化を検出する新しい方法についていくつか提案されている。

従来、多く行われていた直流漏れ電流法、誘電正接法などに加え、活線状態において交流中の直流分を測定する方法および接地変圧器や高圧線から交流電圧を印加し、ケーブルの絶縁抵抗を測定し、劣化状態を判定する診断装置などが6600KV級の配電ケーブルに対し開発されている。

一方、22KV級においては、交流を課電したまま直流電圧をバイアスし、そのときの直流分を測定し、劣化状態を判定するいわゆる交流課電直流バイアス法、直流課電後の交流課電による残留電荷測定、交流印加時の損失電流形測定等による診断技術の開発が進められている。

しかしながら、66KV以上のCVケーブルでは、極めて微弱な信号しか発生しないため、現状では劣化判定が難しく、今後の開発が求められている。

・CVケーブルの絶縁破壊の要因を究明する新しい手段としては、部分放電パルス検出法と高速電源遮断法を組み合わせた「前駆遮断法」が開発され、破壊要因となる欠陥の検出が可能となっている。

最近では、中間接続部を含む超高圧ケーブル線路の竣工試験として、部分放電測定を併用した交流耐電圧試験が実施されている。

OFケーブル

500KVまでの超高圧長距離線路に多数の実績があり、その信頼性については評価が高い。最近では、従来のクラフト紙に代わって半合成絶縁紙が154KV以上の超高圧OFケーブルに一部採用されている。半合成絶縁紙はPPフィルムとクラフト紙をラミネートしたもので、誘電体損失が小さく、絶縁体厚さを薄くでき、ケーブルの大容量化、コンパクト化が可能となった。

導体内部から冷却することによって冷却効率を上げ大容量送電を可能にする内部直接冷却方式のOFケーブルが平成7年度に実用化された。

保守技術

洞道内布設された重要線路の集中監視システムが実用化され、また、高性能光ファイバ分布形温度測定装置が線路全長の常時監視、異常予知等に応用されている。