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通信用電線

架空送電線 地中送電線 架空配電線 地中配電線
地中送電線
遠隔の地で発電された電力は架空送電線により都市に送電される。都市に入ると、用地難や美観の問題等で架空送電線での電力供給が困難となり、地中送電線で電力を供給することが多くなる。
送電線は、一般に特別高圧以上の電圧で供給される電路を言う。古くはベルト紙ケーブル、Hケーブル、SLケーブルと言った油浸紙ケーブルが使用されたが、その後OFケーブル(油浸紙絶縁であるが、油圧を加えることで空隙の発生を防止する。)が開発され、その安定した特性のために、戦後は地中送電線の主力となった。
その後、昭和40年代にCVケー ブルが実用化され、「メンテナンスフリー」のケーブルということで昭和60年代頃からは、新設線路の多くはCVまたはCAZVケーブルになった。

① OFケーブル(Oil-filled cable)

単心OFケーブル(OFAZV)の例
POFケーブルの構造
OFケーブルは、ケーブル内に絶縁油の通路を設け、端部に設けた重力タンク又は圧力タンクで適当な油圧を加え、温度変化による気泡の発生を防止したものである。導体にはクラフト紙という絶縁紙が多層に巻かれており、絶縁油が充填されている。単心OFケーブルの例を写真に示す。
Fケーブルはその優れた特性のため、国内で66~500kVまで多くの使用実績がある。
なお、波付きアルミシースは、内部の絶縁油を封じ込める役目がある。
なお、OFケーブルの変形として、写真に示すPOFケーブル(Pipe-type OF cable)がある。
このケーブルは、OFケーブルの絶縁線心3条を防食鋼管の中に引入れた構造である。鋼管への引き込みはスキッドワイヤと呼ばれる線を巻き付けることで摩擦抵抗を低減させ、長尺布設を可能としている。鋼管の内部は、端部の圧力タンク等で加圧された絶縁油が充填される。
鋼管は磁性体であるが、3心を引き込むことで3心の電流の合計はゼロになり鉄損による発熱は生じない。また、絶縁油を循環させケーブルを冷却することでOFケーブルより電流容量を大きくすることも可能である。




② CV・CAZVケーブル

275kV CAZVケーブル
33kV級 架橋ポリエチレン絶縁海底ケーブル
(通信線複合)
CV・CAZVケーブルの絶縁体は架橋ポリエチレンである。ポリエチレンに架橋剤を混ぜ、高温・高圧下で化学反応させると架橋ポリエチレンとなる。ポリエチレンは110℃前後に融点があり、それ以上の高温では溶けてしまうが、架橋ポリエチレンは、高温でも、軟化はするが溶融しない。
CVケーブルは「架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル」の記号であり、CAZVケーブルは「架橋ポリエチレン絶縁アルミシースビニル防食ケーブル」の記号である。
CVケーブルは66kV若しくは154kV以下の線路に使用され、154kV若しくは275kV以上の線路には主にCAZVケーブルが使用される。これは線路の短絡容量の大きい線路ではアルミシースが必要になるということもあるが、架橋ポリエチレン絶縁の課題である「水トリー劣化」の原因となる「水」をアルミシースで遮断しようという目的が大きい。
写真にCAZVケーブルの構造を示す。
絶縁体の内部及び外部の黒い層は内部半導電層及び外部半導電層であり、架橋ポリエチレンにカーボンを混ぜて半導電性にしたものである。絶縁体の内外表面に生じうるボイド等の欠陥を電気的に遮へいするものである。
CV・CAZVは国内の多くの送電線路に採用されており2000年には東電・新京葉豊洲線で接続部を有する長距離500kV線路にCAZVが採用された。
写真に架橋ポリエチレン絶縁海底ケーブル(陸上部)の構造を示す。各線心は単心のCVケーブルとなっている。外周に書き付けてある鉄線(6mm又は8mm径)は海底ケーブルに特有な鉄線鎧層である。布設時の張力に耐えるため及びケーブルへの外傷防護のために設けられている。